りんご秘書の産婦人科日記

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コウノドリから学ぶ産科知識②常位胎盤早期剥離

本日は

 

コウノドリから学ぶ産科知識②常位胎盤早期剥離


をお届けします。

 

前回はNIPTについてお届けしました。

 

産婦人科を扱った最高の傑作ドラマといわれるコウノドリ

まだご覧になっていない方はU-NEXT でぜひご覧ください。

 

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妊婦健診はちゃんと行ってね

皆さんは「早剥」という言葉を聞いたことがありませんか?
一般に呼ぶときは、常位胎盤早期剥離を略して「早剥(そうはく)」と呼びます。

 

早剥は、命に関わる状態になる可能性が高いにも関わらず、
予測が不可能で、急速に進むことのある怖い病気です。

しかも一定の割合で実際に起こるのが怖いのです。


教科書では、確率は全妊娠の0.8~1.5%と書かれています。

これ、結構な割合で、100件に1件ぐらいということです。


実際に産婦人科でも、ときどき見かける印象です。

 

ドラマの中では、喫煙をやめられない妊婦が早剥を起こし、

緊急帝王切開になるという流れが描かれていました。

 

詳しく見ていきます。

 

 

常位胎盤早期剥離とは


通常は、赤ちゃんが産まれたあとに剥がれる胎盤が、産まれる前に胎盤が子宮壁から剥がれてしまうことをいいます。

胎盤は赤ちゃんに栄養や酸素を送る大事な役割をしていますので、

胎盤が剥がれてしまうと、赤ちゃんに酸素が送れなくなり、

最悪の場合、胎児死亡に至ります。

また、助かっても低酸素脳症に陥り、脳性麻痺が残る可能性も高いです。


そのため、早剥が疑われた場合は、ただちに緊急帝王切開が行われます。

 

medicalnote.jp


早剥には種類がある


部分的に剥がれて止まる場合と、全部剥がれる場合があり、
分娩時に全部が剥がれると、

通常は赤ちゃん→胎盤の順に時間差で体外へ出るものが、

赤ちゃんと胎盤が一緒に出てくることもあります。


早剥を起こしたときの影響


① 赤ちゃんへの影響


酸素や栄養を胎盤から受け取れなくなるので、胎児死亡に至ったり、助かっても脳性麻痺に陥ることがあります。

 

② ママへの影響


かさぶたを剥がすと血が出るように、胎盤が剥がれるときに、子宮壁から出血します。


さらにDIC(播種性血管内凝固症候群)という合併症を起こすと

体中の細い血管で血栓ができることと、壊れることが繰り返されます。

そのため、出血が止まりにくい状態となり、輸血が必要となったり、命に関わることもあります。

 

何が原因で起こる?


はっきり「これだ」という原因があるわけではありませんが、

以下のようなことがある方は、リスクが高くなります。


・高血圧

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高血圧の数値、わかりますか?



妊娠高血圧症の方や、妊娠前から血圧が高かった方は、リスクが3倍程度になります。

 

・喫煙


ドラマの中で描かれていたのはこの原因です。
喫煙をしている方はリスクが1.8倍程度になります。

喫煙はそもそも血流が悪くなるため、高血圧になるリスクが高いともいわれています。

ご本人の喫煙だけではなく、

ご主人からの受動喫煙でもリスクは高まりますので、ご夫婦でやめましょう。

 

子宮筋腫がある方


子宮筋腫胎盤付着部の後方の子宮内膜表面の近くに位置する場合は、

胎盤早期剥離を起こしやすいというデータがあります。

 

・すでに早剥の既往がある方


1人目が早剥で…という方は、2人目以降も早剥を繰り返す可能性が高く、

リスクは10倍程度まで上がります。

病院を変えた場合は必ず医師にそのことを伝えましょう。

その他にもさまざまな原因が考えられています。
基礎疾患などをお持ちでご心配な方は妊婦健診時に相談しましょう。

 

どんな兆候があるのか


・下腹部痛


急な下腹部の痛みや、いつもと違うお腹の張りを感じることがあります。

 

・出血


胎盤の下の部分から剥がれると、出血を起こすことがあります。
出血はその他の異常の場合もありますので、少量でもかかりつけの病院に相談するようにしましょう。

 

・胎動減少


赤ちゃんの元気がなくなっている証拠です。

「いつもの時間に動かない」

「動きを感じる回数が少ない」

など、ご不安な場合はすぐに相談しましょう。

 


予防策は?


具体的な予防策はありません。
冒頭にも書きましたが、予測が不可能で、急速に進む可能性のある病気です。
強いて言うなら、

〇リスクを知っておくこと
〇喫煙はやめること(パートナーにもやめてもらう)
〇規則正しい生活を心がけること

このあたりですね。

 

帝王切開は安全!

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変わらず、子はかわいい


これは余談になるかもしれませんが、最近、帝王切開を嫌がる妊婦さんを見かけました。
早剥の場合は、問答無用です。
帝王切開を拒否して、危険な状態になる方を何度も見てきました。

女性として、お腹に傷が残ることが嫌だという気持ちはよくわかります。

入院期間も多少長くなりますので、予定も狂うでしょう。

 

でもその理由、赤ちゃんの命とどちらが大事ですか?

 

これは、ぜひ肝に銘じてほしいです。

 

それでは、今日はこの辺で。
また次回の記事でお会いしましょう~